寺井 基博 准教授
産業関係学科
創立50周年によせて
Terai Motohiro
寺井 基博 准教授
1966年大阪府生。同志社大学大学院法学研究科博士後期課程退学。2001年同志社大学文学部社会学科産業関係学専攻専任講師(着任)。2005年より現職。主な担当科目は「労働法Ⅰ・Ⅱ」「産業関係実習Ⅰ・Ⅱ」「現代社会と労働」。
産業関係学科創立50周年記念行事が開催される11月12日に、奇しくも私の50歳の誕生日を迎えます。今となっては産業関係学科との縁を強く感じるばかりですが、その出会いは突然でした。
法学部の任期付助手だった私は、当時文学部にあった産業関係学専攻の専任教員の募集情報を見落としていました。その情報を教えて下さったのは故安枝英訷先生でした。応募締切日の2日前の夜のことです。「応募者は多いだろうし、難しいかもしれないけど試しに出してみたらどうだ」と背中を押していただき、教えていただいた通り2,000字の研究計画書を徹夜で書き上げ、主要論文3本と合わせて書類を揃えました。
翌日、仕事がひと息ついた午後4時過ぎ、募集要項が手元にないので少々不安になった私は、社会学科事務室に確認の電話を入れました。締切日の前日、それも閉室間際にかかってきた間抜けな問い合わせに、少し間があいてから「明日が締切日で、それも土曜日なので午後から事務室は閉まります」と気の毒そうな声が返ってきました。事情を話すと、主要論文それぞれに1,000字程度の要約が必要だと教えてもらうことができ、また徹夜で書き上げました。翌朝、応募書類一式を抱えて、弘風館の階段を上って暗くて重い鉄扉を開けた先にある事務室に駆け込んだのをいまでも鮮明に覚えています。数カ月後、応募したことをすっかり忘れていたところに面接の知らせが舞い込みました。面接は専攻の先生方が一堂に会されてピンと緊張が張り詰めた中で始まりましたが、司会進行役の先生がつとめて笑顔で優しくご対応いただいたのが印象的でした。その先生が最初に名乗られて、「産関にとても厳しい先生がいる」と法学部にも噂が漏れ伝わっていた石田先生だと知ったとき、噂と実像の違いに戸惑いながらも、かえってリラックスして面接を受けることができたように思います。
この思い出を原稿提出締切日の朝に書いています。17年経っても変わらないなあ。