樋口 純平 准教授
グローバル経営の人事管理は、
国や地域を超えて世界共通になるのでしょうか?
今日では、多くの企業・産業が成長の基盤を海外市場に求めるようになってきました。それにともない、世界中の国々に設置されるようになった開発、製造、販売などの機能を担う現地法人を、グローバルな視点からいかに最適に管理・統制するかが企業の国際競争力を左右するようになっています。グローバルな視点に立った人事管理の枠組みを構築することは、こうした取り組みにおける最重要課題の1つといえます。
国や地域を超えた人材の最適な育成と配置、そして、それに呼応した評価・処遇システムの共通化をいかにして実現するのか、これが多国籍企業に課された目下の課題です。しかしながら、こうしたグローバルな人事管理の実態に少しでも立ち入ってみれば、それらがいかに「言うは易く行うは難い」課題であるのか、直ちに分かってきます。というのも、それぞれの国や地域において、さらに言えば同じ国内の現地法人においてすら、そこに根差した人事管理固有の制度や慣行が存在するからです。
このようなグローバル人事の研究に取り組むための第一歩は、誤解を恐れずに言えば頭以上にフットワークを活かして調査のフィールドに飛び込むこと=海外の職場を観察して回ることです。国や地域における多様性との緊張を孕みながら新たに生成しつつあるグローバル人事モデルの姿を探る旅に、皆さんも出かけてみませんか?
ひぐち じゅんぺい
日本と諸外国における人材マネジメントの特徴を、国際比較的な視点から研究している。特に最近は、グローバルな競争環境への適応を通じて日本型人事システムが脱構築されるプロセスに強い関心を寄せている。
research map受験生へのメッセージ
これまで、日本国内はもとより、北米、欧州、アジアなどの諸外国の企業を訪ね、グローバル競争の中で闘っている方々の話を聞いて回りながら、変化が激しくてとてもおもしろい、そして厳しい時代に生きているのだという実感を強く抱くようになりました。これから大学で学ぶ皆さんには、変化の時代に適応しようとする気概と柔軟性、そして何より物事の重要性を自ら見極めることのできる判断力を培っていただきたいと思います。本学には「倜儻不羈」(てきとうふき)という素晴らしい言葉と、それを後押しする自由主義の教育理念があります。一教員として、進取の気性に溢れた学生の皆さんの力になりたいと願っています。
また、自分自身を振り返ってみても、学生時代は様々な面でその後の人生のコアになる部分が形成されるとても大切な時期です。専門的な勉強のみならず、幅広い読書や映画鑑賞等を通じて思考力と感性を大いに磨くと共に、様々な活動を通じて大切な人間関係を築いて下さい。この産業関係学科で、皆さんとお会いできるのをとても楽しみにしています。