産業関係学科とは
産業関係学は英語のIndustrial Relationsの訳語です。日本語としては雇用関係と訳すほうが適切かもしれません。雇用や労働について学ぶ学科だと考えてください。今日の産業社会は人々の雇用関係に基づく労働によって支えられています。その雇用関係が良好な社会が良い社会に違いありません。この雇用関係に関する理論や実践を体系的に学ぶことができるのが、同志社大学の産業関係学科"SANKAN" です。
日本では類を見ないユニークな学科として、長年にわたって企業や行政機関からも注目を集めており、卒業生は企業や行政の人事企画部門をはじめとするさまざまなフィールドで活躍しています。
産業関係学科紹介動画
産業関係学科へようこそ!産業関係学科の魅力をこちらの動画で紹介します。
雇用・労働を中心に学習
【関連する科目】ファーストイヤーセミナー、 産業関係論 など
厳しい経済状況が続く今こそ、働く人たちが力を十分に発揮できる仕組みづくりが求められています。産業関係学は、雇用に関するさまざまな事象のメカニズムを解明し、問題の解決策を考える学問です。快適な職場環境や豊かな社会制度の実現に向けて、具体的に提案できる能力の育成をめざしています。
社会学だけでなく、経済学、法学、教育学、心理学など種々なバックグラウンドを持った教員が、それぞれの立場から雇用や労働をテーマに授業を行います。産業関係学を学び研究するには、他の社会科学の知識や技術も必要であり、学生たちもそれぞれの興味・関心に沿って、さまざまなアプローチでより良い働き方を探っていきます。産業関係学科は雇用や労働を中心に幅広い学びが可能な学科です。
実証的な現場主義の学び
【関連する科目】産業関係実習、働くということ など
産業関係学は、雇用に関するルールの研究です。そのルールは「どんな仕事をして、いくら賃金が支払われるのか」が中心になります。賃金のルールだけを考えても、企業により、時代により違いがあります。国による違いも大きいのが特徴です。その時代、特定の企業、特定の国についての正確な観察が求められます。対象にできるだけ接近して正確な観察をすること、これが現場主義です。
産業関係学科では、実際の工場への見学や、学外での調査・研究活動など、教室の外での"現場"に触れる機会を多く設けています。そして具体的な観察力やデータ収集力を重視し、養成するとともに、現場主義で得た情報をどのように理論立てて発表していくかについても学ぶことができます。
思考を伝えるレポート力を養成
【関連する科目】産業関係基礎論文、卒業論文 など
学問も社会に出てからの仕事も、人間のあらゆる行いはすべて言葉によって行われます。産業関係学科では、言葉によって自己の考えを確かに伝えることが、学生にとって必要不可欠の力であると考えています。自分の頭の中だけにある考えは、ダイヤの原石のようなもの。文献を読んだり、他の学生と討論することでそれを磨き上げ、実際にレポートという形で表現してみることで思考は深みを増していきます。
本学科では1年次生の時から2週間に1回のレポート提出を課題としています。提出されたレポートは教員が丁寧に添削し、講評とともに学生に返却します。言葉による表現力を身につけることによって、社会人としてのスタートラインに立つことができます。
データ・統計から現実を読み解く
【関連する科目】産業調査実習、産業調査統計論 など
私たちの社会で生じるさまざまなできごとの要因は、社会全体をおおうマクロな要因と、個人的な事情などのミクロな要因の大きく二つに分けることができます。統計的把握とは、そのうち主としてマクロな要因に着目する方法です。一見個人的な事柄に思われる現象の背後にも、しばしばマクロな要因がひそんでいることがあります。
近年、若者の就職難や早期離職に関して、若者個人の能力や忍耐の不足に原因を求める議論もありますが、失業率や労働時間などのマクロな統計データの動きを吟味すると、必ずしも個人のせいとは言い切れないことがわかります。社会の成り立ちを多様な観点から理解する力を育むために、産業関係学科では統計的把握の方法を学ぶことを重視しています。
交流ときずなを深める少人数教育
【関連する科目】産業関係文献演習、産業関係学演習 など
産業関係学科の一学年の定員は87名です。学生は入学して数カ月もたてば、全員と顔なじみになります。そして教員は9名。教員1人当たりの学生数は10名弱なので、一人ひとりの学生に目配りした、きめ細かな教育ができます。学生同士の仲が良いだけでなく、学生と教員との距離が近いことも本学科の特徴の一つです。
1、2年次生は大学での基本的な学び方、文献の読み方を学びます。3、4年次生の専門ゼミでは、産業関係学をより深く学び、ともに学ぶことを通して、学生同士のきずなを強めていきます。そして4年次生になると、ゼミの教員と相談しながら卒業論文を書いていきます。論文を書き終えたとき、学生は教員との距離がぐっと近くなっていることに気づきます。
実用的なプレゼンテーション・スキルの習得
【関連する行事】学生研究報告会、産業調査実習報告会 など
プレゼンテーション・スキルとは、一般には、図表や映像を効果的に用いて、視覚的にわかりやすく伝える力と考えられています。事実や考えの羅列だけでは他人に理解してもらうことができません。さまざまな情報を収集・整理した上で、論理的に筋道を組み立てていく技術が必要です。グループ報告の場合は意見の集約にも工夫を要します。しかし最も重要なのは「何を伝えるか」を見つけること。まず、伝えるべき内容を発見する力を養うことが大切です。説得力のあるプレゼンテーション・スキルは一朝一夕に身につくものではありませんが、産業関係学科では調査報告・課題発表の機会を多く設け、4年間で社会に通用するプレゼンテーション・スキルが習得できるように指導します。