このページの本文へ移動
ページの先頭です
以下、ナビゲーションになります
以下、本文になります

from SANKANアーカイブ

仲間同士で学び合う

2010-01-07
教員コラム 投稿者:【阿形】


「教員コラム」を読んでいる皆さんは大学での学習についてどのようなイメージをお持ちでしょうか。高等学校までの教育では、おもに教師から生徒への一方向的なコミュニケーション・スタイルをとってきたと思います。先生の話をきちんと聞いていれば授業内容を理解できるしくみになっているはずです。それに対して大学では「自学自習」が強調されます。授業に出席して先生の話を聞いていれば自動的にわかるという形にはなっておらず、授業をきっかけに自分で調べて学ぶことが要求されているのです。
とはいえ、一人で自習するのはなかなか大変なので、仲間同士で学ぶという方法が有効です。私の3年生ゼミでは毎年文献の輪読を行っていますが、毎回一人の報告者を立ててきました。今年度は人数が多かったので、苦肉の策として報告を二人一組でやってもらうことにしました。ふたを開けてみると、これが予想以上に効果を発揮し、レジュメの内容や発表スタイルに工夫が凝らされ、授業中の議論も活発に行われるようになりました。これは報告者が二人で相談しながら文献を読み込み、発表を準備してきていたからだと考えています。まさに仲間同士で学ぶという方法が功を奏したわけです。
産業関係学科では、毎年1月上旬に3年生ゼミ対抗の「学生研究報告会」という行事を催しています。ゼミごとに自主的に研究した成果を発表し、優秀さを競い合うスタイルをとっています。ほとんどのゼミではメンバー全員で一つのテーマに取り組んで研究を行い、その成果を発表します。メンバーの個性を活かして役割分担し、相互の議論を重ねながら研究する過程はとても勉強になります。また、下級生が先輩たちの発表をみて、翌年以降自分たちが報告する番に回るため、年々内容が洗練されてきました。今年(2010年)は1月9日(土)午後に行われる予定です。行事の準備をしている学生によると、例年とは違った方法で評価するそうです。発表する各ゼミの工夫、裏方で準備をしてきた学生たちの工夫がどんな形であらわれるのか、仲間同士で学び合った成果を今から楽しみにしています。

卒業生ゲストスピーカーを迎えて

2009-12-23
教員コラム 投稿者:【浦坂】

IMG_0836

12/18(金)の産業関係基礎論に、2名の卒業生がゲストスピーカーとして来てくれました。堀内映志さんと石橋恵さんです。
堀内さんは、1998年度生で松村彰ゼミのご出身。卒業後、総合政策科学研究科に進学して博士前期課程を修了し、人事コンサルティング会社に就職されました。そこで給与評価制度、労務管理体制、採用などのコンサルタントとして活躍した後、今の職場に転職。現在は、広告代理店のマーケティングリサーチのデータ集計、解析に従事されています。
石橋さんは、2000年度生で私のゼミ生でした。卒業後、専門学校でさらに学んで社会福祉士と精神保健福祉士の資格を取得。総合病院での医療福祉士としての勤務を経て、現在は教育系大学院の博士前期課程で臨床心理学を修める大学院生です。
堀内さん、石橋さん共に、私にとっては本当に思い出深い学生さんです。
堀内さんは、彼が入学した1998年に私も同志社に着任したという同期生であり、初めて「産業調査実習」という科目を担当したときの5名の受講生のうちの一人でした。5名それぞれが全く異なる調査を手がけ、それをアシスタントなしに私一人で指導(?)するという、今思えば無茶苦茶な体制でした。指導どころか、私も含めて6名が団子状態で悪戦苦闘したのが、つい昨日のことのようです。
当時の堀内さんのテーマは「ベンチャー企業の株式発行と新しい人事制度」。彼の作成した調査票は、今見ても実に美しく洗練されていて、こういう緻密な作業を3年生の時点でできていたのだなと感じ入ります。その後の彼のキャリアを眺めたとき、その頃から芽生えていた強みや問題関心が存分に生かせる道を歩んでいることを改めて気付かされました。この先、いつかは自分でビジネスを......と語ってくれていましたが、その夢が叶う日を楽しみに待ちたいと思います。
石橋さんは、産関生なのに福祉に関心があって、在学中からひたむきに福祉の勉強を続けていました。現在のカリキュラムであれば、十分に社会福祉学の副専攻を修めることができたはずですが、当時は自主的に勉強するより他ありません。彼女がお世話になっていた福祉の先生に、何かの折に「すみません、ウチのゼミ生がご迷惑をおかけして」とお詫びしたところ、「一緒に育ててあげましょう」と返してくださったことが今でも忘れられません。ああ、学科の壁、学問の壁というのは、学ぶ気持ちさえあればいくらでも低くできるんだなと思ったものです。
彼女のその後は、なかなかに大変だったと聞いています。福祉の現場の厳しさは、知識としては分かっていても、想像を絶するものだったようですが、その経験の一つ一つが、今の凛とした彼女を形作っているのでしょう。卒業後5年が経過し、語るべき言葉を持った大人の彼女にとって、教室はもうすっかりそぐわない場所になっていましたね。
こういうときに、普段そういうことを考えるのは固く封印しているというのに、ついつい長く生きてきたんだな、年月を重ねたんだなと痛感します。まだまだ子供っぽかった学生さんたちが、いつの間にか大空に羽ばたいて行ったのを、下から見上げているような感じがして、それはそれで悪くない......というよりも、思わず頬が緩むような、本当に嬉しいひとときでした。

「口頭発表の練習」道場を始める

2009-12-18
教員コラム 投稿者:【千田 忠男(ちだ ただお)】


この11月から『口頭発表の練習』道場を始めた。話しことばでフォーマルな発表を練習するための道場である。形よく言えば「ビジネス日本語の実践研究」ともいえる。今はまだ4名の学生と私だけであるが、週1回あつまって話すことと聞くこと、発音・発声から聞き取りまで、ひたすら実践研究に励んでいる。

「就職活動は人とのコミュニケーションを通じて自らの能力を表現することが求められる」といわれる(注)。まったくその通りであって、職業人の最も重要な能力であり、現代人の基本の力である。これを、実践を通じて研究し、あわせて体得しようというのである。

大学で学んで『力』とすべきものもう一つに抽象的な概念を取り扱う能力がある。これは、弁論あるいは討論を通じて練り上げられるという側面もある。そこで、発表を聞き取って質問を重ねる課題を通じて、この能力をもあわせてみがこうと欲張った勉強をしている。

産業関係学科は「レポート地獄」として現役学生から恐れられ、卒業生からは「サンカンの強み」と懐かしがられたりもする。この強みをいっそう光らせるためにはどうすればよいかと考え尽くして、たどり着いた課題が話しことばでフォーマルな発表をするための勉強である。

こうしたことを意識する学生が道場に集まり全10回のメニューをこなす。ボイストレーニングの専門家の指導も組み込んでいるので、「アエイウエオアオ」と唱和する声が聞こえてきたら道場の練習がはじまったのである。

まもなく第1期が終了するが、第2期は2月上旬から、もう少し規模を広げて行いたいと思っている。木曜日2講時を予定しているが、正課の科目ではないので、参加したい方は演習クラスの先生から推薦を得て私宛に申し込んでほしい。

注:下村英雄「就職に有利な学生は・・・対人関係・勉学 意識高く」(日本経済新聞2009年7月20日)

from SANKANアーカイブ