受験生の皆さんへ

受験生の皆さんへ

2010-01-21

 昨今、社会の注目を集めている非正社員労働者について私は研究している。産業関係という視点から見た時、こういった労働者の労働組合への組織化(=労働組合に加入してもらうこと)が、ようやく進みはじめたことが注目される。だから非正社員労働者の組織化をこれまで中心的に進めてきた労働組合の全国大会への参加を誘われた時、今行かなければ絶対後悔すると思い、遠かったけれど飛行機に乗って行ってきた。しかし、今回書こうと思うのは、その大会の事ではない。このことはいずれ分析・執筆するであろうから、ここには記さない。

 帰りの飛行機まで時間があったので、同じく参加していたS大学の方とランチをすることになった。行くべきところは決まっていた。そこはある有名なお菓子屋さんの本店2階にあるレストランで、私が中学生の頃から行ってみたいと思っていたところである。中2の頃であろうか、そのお菓子屋さんのある街から転校してきた子がいた。そのお菓子屋さんはまずチョコレートで全国的に有名になったけれど、その頃はまだ無名で、同じ県に住んでいる私も知らなかった。その子が言うには、そのお菓子屋さんのお菓子はとてもおいしく、休日にはお店にあるレストランに家族でちょっとおめかしして行くこともあるのだという。その子の名前はもはや思いだせないのだけれど、このことだけはなぜか記憶に強く残っていた。

 興味を持ってから40年近くもたっての初訪問である。ちょっとだけ贅沢してミニコースを頼んでみた。とはいっても1700~1800円である。この値段からいっても、このレストランが特別な高級店ではなく、普通に働いている労働者がちょっと贅沢をしようという時に行くお店であることがわかるであろうと思う。

 小さなレストランであったが、居心地がよかった。でも私の気を引いたのはそのレストランで働いている人達のことであった。ウェイトレスさんは二人しかいなかった。たぶんこのレストランで長く働いているであろう彼女達は、小さな白い襟がついた紺色のワンピースに、同じく小さな白いエプロンという古風な制服を着ていた。似合っていて、可愛らしかった。単に古くからあるお店だからではなく、良きものは残したいという経営者の断固とした意志を感じた。

 しかし、そのレストランで何より驚いたのは彼女たちの年齢であった。一人は明らかに私の母(75歳)と同じくらいと思われた。もう一人も60歳前後と思われた。この二人が静かに、そして的確に給仕をしてくれるのである。つまりはゆったりと働いているということだ。帰りには、この2000円未満の二人の客を母と同年齢くらいのウェイトレスさんがエレベーターまでお見送りに来てくれた。

 こういった仕事を、この年齢の労働者にさせていることに私は感激した。つまりはこういう雇用の仕方をしていることに感動したということだ。その直前まで参加していた労働組合の大会で、働き続けたいと思っても有期雇用のため働き続けにくいことや、そもそも働き続けることができない過酷な働かせられ方を山のように聞いていたから、なおさらこのレストランのことは印象的であった。この会社は労働者が有給休暇を100%取得(=付与された有給休暇日数を、労働者が全て取得していること)している事でも有名であった。職業柄こういう情報に対しては常に疑ってかかる質だが、この会社ならありえるかもしれないと思った。書くまでもないことだが、ミニコースのお料理はもちろんおいしかった。労働者を、こんな風に雇う会社の作る物がまずいわけはないのだから。

 産業関係学ときいても何がなんだかわからない受験生はたくさんいると思う。でもこのレストランの話しからわかるように、産業関係学って私たちの普段の生活の中にあることを働くという視点から考える学問だ。その意味で日常に密着した学問だ。では、桜の頃には皆さんと出会えることを楽しみにしてます(^_^)/~。


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